2025年第4四半期時点で、フィリピンの労働力人口は4,910万人、マニラ首都圏(NCR)の月給の中央値は18,423ペソです。フィリピンで人材を採用する雇用主は、フィリピン労働法を遵守し、内国歳入庁(BIR)に登録したうえで、3つの社会保障機関への拠出を行う必要があります。本ガイドでは、雇用形態の選択から契約終了の管理まで、すべてのステップを解説します。
外国企業がフィリピンで採用する方法には何がありますか?
外国企業がフィリピンで人材を雇用する方法は4つあります。それぞれコスト、コンプライアンス、所要期間が異なり、人員規模、予算、長期的な計画に応じて選択します。
フィリピンのEORを利用すれば、証券取引委員会(SEC)への登録なしで採用できます。EORが法的な雇用主となり、給与計算と法定拠出を担い、DOLEの規制へのコンプライアンスを確保します。フィリピンのPEOは共同雇用モデルで運営され、コンプライアンス責任をクライアント企業と分担します。
フィリピンでの採用にはどのような労働法が適用されますか?
雇用に関する基本法はフィリピン労働法(大統領令第442号)です。このほか、DOLEの省令、社会保障法(RA 11199)、フィルヘルス法(RA 11223)、パグアイビッグ基金法(RA 9679)による規制があります。採用判断に影響する主な規定として、6か月経過後の正社員化の義務、契約終了に関する厳格なルール、そして東南アジアの多くの国を上回る法定福利厚生が挙げられます。
労働雇用省(DOLE)は労働基準を執行し、国家労働関係委員会(NLRC)を通じて紛争を調停するほか、雇用主のコンプライアンスを監査しています。フィリピン法では、現地法人を持たない外国企業は労働者を直接雇用できないため、フィリピンのEORの活用が標準的な代替手段となっています。
フィリピンではどのような雇用契約が使われていますか?
フィリピンの労働法では、3種類の雇用契約が認められています。正規雇用(無期雇用)は最長6か月の試用期間を経て開始します。プロジェクト雇用はプロジェクトの完了とともに終了します。季節雇用は季節性のある業務が対象です。有期契約は、最高裁判所のBrent School判決で示された特定の条件を満たす場合に限り認められます。
契約の種類にかかわらず、すべての従業員が初日から法定福利厚生を全面的に受けられます。適用除外期間はありません。雇用主は、職務、給与、労働時間、勤務地を明記した書面の契約書を交付する必要があります。契約書は英語またはフィリピノ語で作成します。
フィリピンで雇用主が負担すべき法定コストはいくらですか?
フィリピンの雇用主コストには、3つの社会保障機関への拠出と13か月目給与が含まれます。法定負担の合計は等級に応じて月給の12.5%〜14%で、これに加えて年間で基本給1か月分に相当する13か月目給与が必要です。
社会保障機構(SSS)の拠出表は31の給与等級で構成されています。雇用主は最初の従業員を雇用してから30日以内に登録しなければなりません。フィルヘルスの保険料率は2025年1月から5%(労使折半)に引き上げられました。パグアイビッグ基金の拠出額は合計200ペソが上限です(雇用主100ペソ、従業員100〜200ペソ)。詳しい内訳は、フィリピンの人材紹介会社に関する記事をご覧ください。
フィリピンの給与計算はどのように行われますか?
フィリピンの給与は月2回払い(1日と15日、または15日と30日)が一般的です。雇用主は各支払対象期間の終了から16日以内に賃金を支払う必要があります。源泉徴収税は累進課税で、0%(年収250,000ペソまで)から35%(年収8,000,000ペソ超)までです。雇用主はSSS、フィルヘルス、パグアイビッグ、BIRへ毎月納付を行う必要があります。
13か月目給与は大統領令第851号により義務付けられています。金額は暦年中に支払った基本給総額の12分の1です。13か月目給与とその他の賞与の合計のうち、最初の90,000ペソは非課税です。多くの雇用主は6月に50%、12月に50%を支給しています。
フィリピンで外国人従業員にはどのような就労許可が必要ですか?
フィリピンで働く外国人には、就労ビザと就労許可の両方が必要です。主な許可は、DOLEが発行する外国人雇用許可(AEP)と、6か月未満の業務を対象とする特別就労許可(SWP)の2つです。それより長い期間の業務には、入国管理局が発行する9(g)就労ビザ(事前雇用契約ビザ)が必要です。
AEPの申請には、適格なフィリピン人がいないことを示す労働市場テスト(LMT)が必要です。DOLEは外国人に開放されている職業のリストを公表しています。フィリピン経済区庁(PEZA)の経済特区で事業を行う企業は、ビザ手続きが迅速化されます。
フィリピンの解雇ルールはどうなっていますか?
フィリピンの労働法は従業員を手厚く保護しています。契約終了が合法とされるのは、正当事由(従業員側の責任)または許可事由(事業上の必要性)がある場合に限られます。正当事由の場合は書面による通知と聴聞、許可事由の場合は30日前の書面通知とDOLEへの届出が手続き上必要です。
不当解雇と判断された場合、従業員は復職し、解雇日から実際の復職日までの賃金全額が遡って支払われます。復職が困難な場合は、NLRCが復職に代えて離職手当の支払いを命じます。解雇が合法であることの立証責任は雇用主にあります。
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フィリピンの休暇制度はどうなっていますか?
フィリピンでは、勤続1年経過後に5日間のサービス・インセンティブ休暇(SIL)の付与が義務付けられています。多くの雇用主はこの最低基準を上回る休暇を付与しています。このほか、産休、配偶者出産休暇、ひとり親休暇、VAWC休暇、女性向け特別休暇といった法定休暇があります。
拡充産休法(RA 11210)では、流産や緊急の妊娠中絶を含め、妊娠1回ごとに105暦日の有給産休が付与されます。さらに30日間の無給休暇を延長できます。結婚に関連する休暇については、フィリピンの結婚休暇に関する記事をご覧ください。
フィリピンの給与水準はどのくらいですか?
フィリピンでは地域別最低賃金制度が採用されています。最も高いのはマニラ首都圏(NCR)の日額645ペソです(2024年7月施行)。NCR以外では、地域に応じて日額341〜573ペソです。専門職の給与は業界によって大きく異なります。
BPO業界は170万人のフィリピン人を雇用しており、IT、カスタマーサービス、バックオフィス職の給与水準を押し上げています。フィリピンのエグゼクティブサーチでは、主に月給200,000〜500,000ペソのCレベルおよびディレクター職が対象となります。
フィリピンで採用する具体的な手順は?
ステップ1:雇用形態を選びます。SECに法人を登録する(3〜6か月)か、EORと契約します(3〜5日)。
ステップ2:給与、職務、労働時間、試用条件を明記した雇用契約書を作成します。
ステップ3:従業員をSSS、フィルヘルス、パグアイビッグ、BIRに登録します。
ステップ4:源泉徴収を正しく計算した月2回の給与計算を設定します。
ステップ5:社員証を発行し、福利厚生に加入させ、DOLEの労働基準に沿ってオンボーディングを実施します。
フィリピン市場を試験的に検討する企業は、現地法人設立に踏み切る前に、まずフィリピンのEORを活用して人材プールを見極めるケースが多く見られます。この方法なら、SEC登録、BIRへの申告、社会保障機関の直接管理が不要になります。
フィリピンで人材を採用できたとしても、それは第一歩にすぎません。その人材を定着させ、最大限に活かすことも同様に重要です。強固なHRIS(人事情報システム)を導入すれば、新たに採用した人材の管理方法が大きく変わります。AIを活用した分析により、採用動向や労働生産性をより深く把握できるうえ、パフォーマンス管理を効率化して、従業員の長期的な成長と組織目標との整合を図ることができます。
始める準備はできましたか?
Anidayでフィリピンでの採用を始めるよくある質問
外国企業はフィリピンで従業員を直接雇用できますか?
いいえ。SECに登録した法人を持たない外国企業は、フィリピン人労働者を直接雇用できません。合法的な選択肢は、子会社、駐在員事務所、支店のいずれかを設立するか、EORを利用することです。
13か月目給与はすべての従業員に義務付けられていますか?
はい。暦年中に1か月以上勤務した一般従業員は、すべて13か月目給与を受け取る権利があります。管理職は大統領令第851号により適用除外ですが、多くの雇用主は任意で支給しています。
フィリピンの試用期間はどのくらいですか?
試用期間は最長6か月です。雇用主は、正社員登用の基準を試用開始時に従業員へ伝えなければなりません。通知を怠った場合、その従業員は自動的に正社員とみなされます。
EORと現地法人設立ではコストにどのくらい差がありますか?
EORの費用は従業員1名あたり月299〜599ドルで、設立費用はかかりません。現地法人設立には初期費用として3,000〜5,000ドルに加え、会計、コンプライアンス、登記上の事務所のために毎月1,500〜3,000ドルがかかります。従業員が10〜15名未満であれば、EORの方が費用対効果に優れています。