フィリピンの個人事業主・フリーランスと直接契約すると、その関係が雇用とみなされないかの判断も、BIRへの納付も、ペソでの送金も貴社側の課題として残ります。Contractor of Record(COR:業務委託契約の名義・支払代行)では、Anidayのフィリピン提携法人がその契約当事者になります。最高裁判所の四要素テスト(four-fold test)に照らした労働者性の審査、法令に準拠した業務委託契約の締結、フィリピン国内の支払者に課される拡大源泉徴収税の徴収と納付、ペソでの支払いまでをAnidayが引き受け、業務そのものは従来どおり貴社のチームが直接進めていただけます。フィリピン法人の設立も、正規雇用化(レギュラリゼーション)のリスクを貴社の帳簿に抱えることも必要ありません。フィリピンでフリーランスや個人事業主を起用したい日系企業の人事・法務ご担当者様には、日本語でご対応します。
その方が個人事業主にあたるのか従業員にあたるのか判断がつかない場合は、フルタイム雇用向けのフィリピン雇用代行(EOR)との違いをご確認ください。フィリピンの労務全般はフィリピン進出ガイドにまとめています。
フィリピンで問われるのは、契約書の題名ではなく実態です。最高裁判所は四要素テスト(four-fold test)――(1)選任・採用、(2)賃金の支払い、(3)解雇権、(4)業務の手段・方法に対する支配力(power of control)――に経済的従属性を加えて労働者性を判断し、4つ目の支配力を決定的な要素とします。Contractor of Recordでは、この業務委託契約の当事者になるのは貴社ではなく、Anidayのフィリピン提携法人です。四要素テストに照らした審査、内国歳入庁(BIR)がフィリピン国内の支払者に求める拡大源泉徴収税の徴収と納付、労働者性についての責任は、いずれもAniday側で引き受けます。
向いているのは、独立性が実態として成り立つ業務です。プロジェクト単位の専門家、稼働日を限ったアドバイザー、フラクショナル(部分稼働)の役員職、自ら稼働時間を決めて他社にもサービスを提供するコンサルタントなどが該当します。逆に、フルタイムで指揮監督を受けて恒常的に同じ業務を担う役割は雇用にあたり、この場合は フィリピン雇用代行(EOR)をご案内します。どちらにあたるかは、ご契約の前に必ずお伝えします。
なお、日本側の義務は貴社に残ります。国内の個人事業主・フリーランスへ発注する場合、2024年11月1日施行のフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、取引条件の書面等による明示と、成果物を受領した日から60日以内の報酬支払いが求められます。日本国内から報酬を支払う際は原則10.21%の源泉徴収が必要で、インボイス制度のもとでは適格請求書の有無が仕入税額控除に影響します。フィリピン法上の手続きはAnidayのフィリピン提携法人が担いますが、これらは国内側の義務として別に整理しておく必要があります。
契約書の作成から毎月の支払い、税務書類の保管まで、Anidayのフィリピン提携法人が名義人として引き受ける範囲です。
契約前に、業務の手段・方法への支配、稼働時間の固定、懲戒規程の適用、専属性、経済的従属性など、国家労働関係委員会(NLRC)と最高裁判所が労働者性の判断に用いる要素を確認します。従業員にあたるという結論になった場合は、その旨をそのままお伝えし、雇用代行(EOR)に切り替えます。
英語で法的拘束力を持ち、稼働時間ではなく成果物を軸に構成した契約です。報酬、秘密保持、非専属性に加えて、著作権の譲渡条項を書面で置きます。知的財産法第178.4条では、書面による別段の定めがない限り、委嘱作品の著作権は制作者に残るためです。
貴社へお送りする請求書はUSD建てで一通にまとめます。個人事業主への支払いは、合意したサイクルでInstaPayまたはPESONetにより、銀行口座・GCash・Mayaへペソで行います。PayPalの手数料も、受け取る側で生じる想定外の為替差損もありません。
フィリピン国内の支払者には、個人への専門報酬から5%または10%を源泉徴収する義務があります。提携法人が宣誓供述書とBIR登録証を取得して正しい税率を適用し、納付のうえBIR様式2307を発行するため、個人事業主は確定申告で税額控除を受けられます。
当社のCORで契約した個人事業主が後に従業員と認定された場合、13か月目給与や休暇の遡及支給、SSS・PhilHealth・Pag-IBIGの遡及拠出、不当解雇の賠償への対応は、貴社ではなくAnidayが負います。手数料はこの引き受けに対する対価です。
稼働がフルタイムに近づいたら、当社のフィリピンEORのもとで雇用契約に切り替えます。SSS・PhilHealth・Pag-IBIG、13か月目給与、休暇、必要に応じてAEP(外国人就労許可)のスポンサーシップまで引き継ぎ、担当窓口もプラットフォームも変わりません。
フィリピンでの業務委託が適法に成立するかどうかを分ける論点をまとめました。数値は2026年9月時点の現行規則で、出典は表の下に記載しています。
| 論点 | フィリピンでの取扱い |
|---|---|
| 従業員か個人事業主か | 判断の枠組みは最高裁判例の四要素テストです。(1)選任・採用、(2)賃金の支払い、(3)解雇権、(4)業務の手段・方法に対する支配力を見たうえで、発注者への経済的従属性を加味します。4つ目の支配力が決定的な要素です。労働雇用省(DOLE)省令174-17号は請負(job contracting)を規律し、元請けに人員を供給するだけの「労働力のみの請負(labor-only contracting)」を禁じていますが、自らの役務を提供する独立した専門職はその対象外です。フリーランス労働者保護法は法案段階にとどまり、まだ法律ではありません。 |
| 業務委託の対象となる方 | 対象はフィリピン国民と居住者です。外国籍の方は、外国人就労許可(AEP)と就労ビザに記載された雇用主のもとでしか働けないため、フリーランスとして業務を受けることはできません。この場合は雇用主のもとでAEPを取得したうえで、EORで契約します。 |
| 所得課税 | 0%〜35%の累進税率で、課税所得のうち最初の25万ペソは非課税です。年間総収入が300万ペソ以下のVAT非登録の個人事業主は、累進所得税と3%のパーセンテージ税に代えて、25万ペソを超える総収入に対する8%課税を選択できます。四半期申告(1701Q)と、4月15日までの年次申告(1701または1701A)が必要です。 |
| 支払者の源泉徴収義務 | フィリピン国内の支払者は、個人への専門報酬に対して拡大源泉徴収税を徴収します。個人事業主の年間総所得が300万ペソ以下で、1月15日までにBIR登録証とともに宣誓供述書を提出している場合は5%、それ以外は10%です(歳入規則RR 11-2018)。BIR様式2307が税額控除の証憑となります。事業活動を行わない非居住外国人には25%の最終税が課されます。フィリピンに拠点のない海外の支払者には源泉徴収義務がなく、個人事業主が自己申告します。 |
| 付加価値税 | 税率は12%で、登録が義務となるのは年間総収入が300万ペソを超えた場合のみです。それ以下であれば3%のパーセンテージ税を納めるか、8%課税を選択した場合は追加負担がありません。非居住のクライアント向けに認められた外貨で支払われる役務は、条件を満たせばゼロ税率の対象となります。 |
| 社会保険 | 個人事業主については雇用主負担のSSS・PhilHealth・Pag-IBIGはありません。自営業者・任意加入のSSS保険料は月額給与クレジット(5,000〜35,000ペソ)の15%に、労災補償10〜30ペソと、20,000ペソ超部分の積立基金(プロビデントファンド)拠出が加わります。PhilHealthの自己所得会員は下限・上限の範囲内で申告所得の5%を納め、Pag-IBIGへの加入は任意です。 |
| 知的財産の帰属 | 知的財産法(RA 8293)第178.4条:委嘱作品については、委嘱者が作品そのものの所有権を持つ一方、書面による別段の定めがない限り著作権は制作者に残ります。Anidayの契約書にはこの定め――貴社への著作権その他知財の譲渡と、既存素材のライセンス――が含まれています。 |
| 請求書・証憑 | 個人事業主はBIRに登録し(様式1901、登録証明書)、BIR登録済みのインボイスを発行します。納税円滑化法(RA 11976、2024年)以降、役務の主たる証憑は公式領収書ではなくインボイスです。EIS(電子インボイスシステム)による電子インボイスの義務化は大口納税者、電子商取引、輸出業者、コンピュータ会計システム利用者が対象で、対応期限は2026年12月31日まで延長されています。個人の個人事業主はまだ対象外です。 |
| 通貨と送金方法 | 外貨の受け取りに制限はなく、銀行が自行レートでペソに換算します。Anidayの提携法人はInstaPayまたはPESONetにより、銀行口座・GCash・Mayaへペソで支払います。貴社が直接支払う場合、PayPal、Payoneer、Wiseはいずれもフィリピンの口座に出金できますが、手数料は個人事業主負担となります。 |
| 個人情報保護 | 2012年データプライバシー法(RA 10173)を国家プライバシー委員会(NPC)が執行します。適法な処理の要件、管理者・処理者の義務、72時間以内の漏えい通知、基準を超えるデータ処理システムの登録が定められています。Anidayは、収集した個人事業主データの個人情報管理者(コントローラー)です。 |
| 誤分類が認定された場合 | 雇用と認定されると労働者は正規雇用化され、13か月目給与、サービスインセンティブ休暇、祝日・時間外手当の遡及支給、SSS・PhilHealth・Pag-IBIG拠出金の遡及納付と加算金(SSSの故意の未納はRA 11199に基づく刑事責任)、契約が終了していれば復職と未払賃金の支払いが求められます。さらに個人事業主が恒常的に貴社の名で契約を締結していると、海外企業には「従属代理人」による恒久的施設(PE)認定のリスクもあります。 |
出典:労働法典、省令174-17号、外国人就労許可の規定は 労働雇用省(DOLE)、累進税率、8%課税の選択、RR 11-2018の源泉徴収、300万ペソのVAT基準、EIS電子インボイス規則は 内国歳入庁(BIR)、自営業者の保険料は 社会保障システム(SSS)、 PhilHealth、 Pag-IBIG基金、RA 8293第178.4条は フィリピン知的財産庁(IPOPHL)、データプライバシー法は 国家プライバシー委員会、法案の審議状況はフィリピン上院に基づきます。最終確認:2026年9月。
起用したい方が決まってからの流れは3ステップです。労働者性の審査と契約締結、書類の整備、そして毎月の請求と支払いまでをAnidayが引き受けます。
四要素テストと契約締結
業務範囲、稼働時間、指揮監督の有無、専属性を四要素テストに照らし、CORで契約できる案件かどうかを見極めます。問題がなければ、成果物、報酬、秘密保持、著作権の譲渡、データの取扱い、解約条件を定めた業務委託契約を、Anidayのフィリピン提携法人と個人事業主の間で締結します。
本人確認と書類の整備
本人確認、TIN(納税者番号)とBIR登録、5%の税率を適用するための宣誓供述書、銀行口座または電子ウォレットの情報を確認します。貴社の監査法人にそのまま提出できる形で一式を保管します。
請求・支払いと源泉徴収
個人事業主は貴社のチームと直接業務を進め、BIR登録済みのインボイスを提携法人宛てに発行します。承認済みのインボイスは貴社宛てのUSD建て請求書一通にまとめてAnidayからお送りし、報酬は合意したサイクルでペソにより支払います。拡大源泉徴収税は当社が徴収して納付し、様式2307と年次の集計をBIR向けと貴社向けの双方に保管します。
| Contractor of Record | 雇用代行(EOR) | 業務委託管理ツール | |
|---|---|---|---|
| 契約当事者 | Anidayのフィリピン提携法人が個人事業主と契約 | Anidayのフィリピン提携法人が本人を雇用 | 貴社が直接契約。ツールは書類と支払いの処理のみ |
| 想定される使い方 | プロジェクト業務、パートタイムの専門家、アドバイザー、フラクショナルの役員職 | フルタイムで指揮監督下にある継続的な役割、AEPが必要な外国人の採用 | すでに顧問弁護士や現地法人があり、労働者性のリスクを自社で引き受けられる場合 |
| 労働者性リスクの所在 | Anidayが審査し、責任もAnidayが負担 | なし(本人は従業員) | 貴社に残る |
| 源泉徴収・社会保険・13か月目給与 | 提携法人が拡大源泉徴収税を徴収。社会保険と13か月目給与の負担なし | 給与所得の源泉徴収、SSS・PhilHealth・Pag-IBIG、13か月目給与、休暇、解雇予告まで対応 | 源泉徴収なし。本人の自主申告に委ねられ、確認する者がいない |
| 雇用への移行 | 個人事業主からEORの従業員へ数日で移行 | — | 手作業 |
はい。外国企業がフィリピンの個人事業主と直接契約すること自体は可能で、PayPalやWiseで支払っている企業も少なくありません。ただしフィリピン国内に源泉徴収義務者が存在しないため、BIRへの対応は本人に委ねられ、労働者性のリスクも貴社に残ります。AnidayのContractor of Recordでは、Anidayのフィリピン提携法人が契約当事者兼源泉徴収義務者となるため、貴社がフィリピン法人を設立する必要はなく、法令遵守の責任は現地企業であるAnidayが担います。
支払者がフィリピン国内にある場合、その支払者が行います。専門報酬に対する拡大源泉徴収税は、年間総所得が300万ペソ以下で宣誓供述書を提出済みの個人事業主については5%、それ以外は10%です(歳入規則RR 11-2018)。BIR様式2307が税額控除の証憑となります。フィリピンに拠点のない外国の支払者に源泉徴収義務はなく、その分は本人が自ら申告することになります。CORでは、Anidayのフィリピン提携法人が宣誓供述書を取得して正しい税率を適用し、納付のうえ様式2307を発行します。
それだけでは不十分です。フィリピンの裁判所は四要素テストで実態を見ます。誰が選任・採用したか、誰が報酬を支払うか、誰が解雇できるか、そして決定的なのは、成果だけでなく業務の手段・方法まで誰が支配しているかです。固定の勤務時間、懲戒と結びついた業績評価、専属性、単一クライアントへの依存はいずれも雇用を示す事情で、配達プラットフォームのライダーが従業員と認定されたのもこのためです。業務委託契約が有効に機能するのは、本人が業務の進め方を自ら決め、成果物単位で報酬を受け、自身の道具を使い、他のクライアントにも自由にサービスを提供できる場合です。Anidayは契約締結の前にこれらの事実関係を確認します。
書面で定めない限り、著作権は制作した本人に残ります。知的財産法第178.4条は、委嘱者に作品そのものの所有権を認める一方、当事者が書面で別段の合意をしない限り著作権は制作者に留まると定めています。Anidayの業務委託契約には、貴社への著作権その他の知的財産の譲渡と、本人が既に保有する素材のライセンスが含まれるため、最初の成果物が納品される前に権利の帰属が確定します。
年間総収入が300万ペソ以下の個人事業主の多くは、25万ペソを超える総収入に対する8%課税を選択しています。累進所得税と3%のパーセンテージ税の両方に代わるもので、四半期申告も簡素になります。控除できる経費が多い場合は、累進税率のほうが有利なこともあります。付加価値税の登録が義務となるのは総収入が300万ペソを超えた場合のみで、非居住のクライアント向けに外貨で支払われる役務はゼロ税率の対象となり得ます。どちらを選ぶかは本人が決めることであり、Anidayは源泉徴収とインボイスがその選択と整合するよう記録します。
当社のCORでは、契約当事者であるAnidayのフィリピン提携法人が負います。雇用と認定されると本人は正規雇用化され、13か月目給与、サービスインセンティブ休暇、祝日・時間外手当の遡及支給と、SSS・PhilHealth・Pag-IBIG拠出金の遡及納付および加算金が生じます。SSSの故意の未納はRA 11199に基づく刑事犯罪です。契約が終了していれば、不当解雇として未払賃金全額を伴う復職も命じられます。そもそもこうした契約形態にならないよう、四要素テストに基づく事前審査を設計しています。
2026年9月時点ではまだありません。書面契約、期日どおりの支払い、危険手当の支給をフリーランスに保証するフリーランス労働者保護法は、第19議会で下院を通過したものの成立せず、第20議会に再提出された法案の段階にとどまっています。Anidayの業務委託契約は、書面での条件明示、合意した支払期日、紛争解決条項など、この法案が求める内容をすでに備えています。成立した場合は本ページを更新します。
フィリピンでの人材活用と労務管理をAnidayにお任せいただいている企業の実例をご紹介します。