シンガポールCPF(中央積立基金)2026年拠出率:雇用主ガイド
年齢帯ごとの全拠出率、段階的引き上げを締めくくるS$8,000の賃金上限、追加賃金の計算式、そして2027年として公表済みの変更点
結論から言うと:2026年1月1日から、CPFの合計拠出率は55歳以下の従業員で賃金の 37%(雇用主17%、従業員20%)となり、年齢が上がるにつれて34%、25%、16.5%、12.5%と下がります。拠出の対象は月額 S$8,000までの通常賃金で、これは4年にわたる引き上げの最終段階です。あわせて S$102,000の年間賃金上限が適用されます。CPFの対象は国民と永住権保持者だけで、EP(就労パス)やSパスの保持者は制度の外にあります。シンガポールに拠点を置く日系企業にとって、現地採用と駐在員では費用構造がまったく異なる点が重要です。本ガイドは、シンガポールに本社を置く自社法人Recruitery Pte. Ltd.を通じて現地の給与計算を運用しているAnidayのチームが執筆しました。
2026年8月12日にCPF Board(中央積立基金庁)の情報源で確認済みです。
2026年1月1日からのCPF拠出率はどうなりますか?
回答:55歳以下の従業員は合計37%で、内訳は雇用主17%、従業員20%です。年齢帯が上がると55歳超〜60歳は34%、60歳超〜65歳は25%、65歳超〜70歳は16.5%、70歳超は12.5%へと下がります。下表は国民と永住権取得から3年目以降の永住権保持者が対象で、月額賃金S$750超の場合に適用されます。
| 従業員の年齢 | 合計拠出率 | 雇用主負担 | 従業員負担 |
|---|---|---|---|
| 55歳以下 | 37% | 17% | 20% |
| 55歳超〜60歳 | 34% | 16% | 18% |
| 60歳超〜65歳 | 25% | 12.5% | 12.5% |
| 65歳超〜70歳 | 16.5% | 9% | 7.5% |
| 70歳超 | 12.5% | 7.5% | 5% |
表の読み方。雇用主負担は総支給額に上乗せされる実費です。40歳・月額S$6,000の現地採用者であれば、CPFを含めた月間費用はS$7,020となり、ここに他の法定項目が加わります。従業員負担は総支給額からの控除であり、会社の追加費用ではありません。年齢は拠出の対象月における実年齢で判定するため、誕生日が年齢帯の境界をまたぐと年度の途中で料率が変わります。給与計算の結果が財務の見込みと合わなくなる原因として、これが最も多いものです。永住権取得から2年目までは低い移行料率が適用され、3年目から上表に到達します。
2026年の通常賃金上限はいくらで、今後も上がりますか?
回答:通常賃金上限は2026年1月1日から月額S$8,000で、2023年に公表された段階的引き上げの最終段階にあたります。月額S$8,000を超える部分には通常賃金としてのCPFは発生しません。追加の引き上げは予定されておらず、下表の流れはここで完了します。
| 適用時期 | 通常賃金上限 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 2023年9月より前 | 月額S$6,000 | 出発点 |
| 2023年9月 | 月額S$6,300 | 第1段階 |
| 2024年 | 月額S$6,800 | 第2段階 |
| 2025年 | 月額S$7,400 | 第3段階 |
| 2026年1月1日 | 月額S$8,000 | 最終段階 — 現在施行中 |
この変更は見た目以上に予算へ効いてきます。2023年から2026年にかけて、55歳以下の従業員に対する通常賃金部分の雇用主CPF上限は月額S$1,020からS$1,360へ上がり、S$6,000からS$8,000までの各賃金帯は年ごとに重くなりました。2026年以降はこの上昇が止まります。上限が固定されたことで、S$8,000を前提に組んだ複数年の人員計画は、この変数について毎年の見直しを必要としません。
年間賃金上限と追加賃金上限はどのように機能しますか?
回答:年間賃金上限はS$102,000で、通常賃金と追加賃金を合わせて管理します。追加賃金上限はその残枠、すなわちS$102,000から当該暦年にCPF対象となった通常賃金の合計を差し引いた額です。雇用主ごと、暦年ごとに適用され、複数の勤務先を通算する仕組みではありません。
| 従業員の月額給与 | 年間のCPF対象通常賃金 | 追加賃金上限 | 賞与への影響 |
|---|---|---|---|
| S$5,000 | S$5,000×12=S$60,000 | S$102,000−S$60,000=S$42,000 | 賞与はS$42,000までCPFの対象 |
| S$8,000 | S$8,000×12=S$96,000 | S$102,000−S$96,000=S$6,000 | 賞与はS$6,000までがCPFの対象 |
| S$12,000 | S$8,000×12=S$96,000で頭打ち | S$102,000−S$96,000=S$6,000 | 同じくS$6,000 — 通常賃金上限を超える給与は年間枠を追加で消費しません |
実務上の含意は2つあります。第1に、賞与などの追加賃金にもCPFが発生します。残枠の範囲までは対象となるため、賞与に比重を置いた報酬設計はCPFの回避策にはならず、年間枠を先に使い切るだけです。第2に、上限が雇用主ごとに適用されるため、年の途中で転職した従業員は新しい勤務先で計算がやり直しになります。2つの給与明細の履歴が1つの年間数値にきれいに収まらないのはこのためです。年の途中で入社または退職した場合、計算の基礎になるのは通年の給与ではなく、貴社で実際にCPF対象となった通常賃金です。
2027年1月1日として公表されている変更は何ですか?
回答:2つの高年齢帯について引き上げが公表されており、2027年1月1日に施行されます。現時点では施行されていません。55歳超〜60歳は合計35.5%(雇用主16.5%/従業員19%)、60歳超〜65歳は合計26%(13%/13%)です。他の年齢帯について変更は公表されていません。2027年1月1日までは2026年の表を適用してください。
| 年齢帯 | 現行(2026年1月1日〜) | 公表済み(2027年1月1日〜) | 変化幅 |
|---|---|---|---|
| 55歳超〜60歳 | 34%(雇用主16%/従業員18%) | 35.5%(雇用主16.5%/従業員19%) | +1.5ポイント |
| 60歳超〜65歳 | 25%(雇用主12.5%/従業員12.5%) | 26%(雇用主13%/従業員13%) | +1ポイント |
| 55歳以下 | 37% | 変更の公表なし | — |
| 65歳超〜70歳 | 16.5% | 変更の公表なし | — |
| 70歳超 | 12.5% | 変更の公表なし | — |
2027年の列は計画のための数値であり、給与システムの設定値ではありません。55歳から65歳の従業員を雇用している場合、この層の雇用主費用は2027年の初めにもう一段上がるため、2026年の料率で組んだ2027年予算は実額を下回ります。給与システムの設定変更は2027年1月1日を適用開始日として登録し、前倒しでの適用は避けてください。
EPやSパスの保持者にCPFを拠出できますか?
回答:できません。CPFはシンガポール国民と永住権保持者だけに適用されます。EP(就労パス)やSパスの保持者について、福利厚生としても、本人の希望に応じてでも、雇用契約での合意によっても拠出はできません。任意加入の仕組みが存在しないためであり、これはシンガポールの給与計算で最も高くつく誤解の1つです。
この誤解は2つの形で現れます。1つは、任意加入型の積立年金がある国で働いた経験のある外国人従業員が、老後や住宅の給付を目的に「CPFに加入したい」と申し出て、善意の人事担当者が応じてしまう場合です。もう1つは、グローバル共通の給与テンプレートがシンガポールの全従業員に17%の雇用主社会保障費を適用し、国民・永住権保持者とパス保持者が区別されないまま処理される場合です。いずれも本来存在しないはずの拠出を生み、還付手続、届出の訂正、そして給与明細にすでに現れた金額についての気まずい説明が続きます。
費用試算のための整理はこうなります。国民または永住権保持者は、総支給額に上表の雇用主CPF負担(賃金上限の範囲内)とSDLを加えた金額です。外国人パス保持者は、総支給額に該当する賦課金(レビー)とSDLを加えた金額で、CPFは一切発生しません。シンガポールでの初めての採用を検討中であれば、パス側の要件はシンガポールのEP(就労パス)ガイドで、両者を合わせた全体像はシンガポール進出ガイドで確認できます。
SDL(技能開発賦課金)とは何で、誰に対して納付しますか?
回答:SDL(技能開発賦課金)は雇用主が負担する少額の賦課金で、料率は月間賃金総額の0.25%、1人あたり月額S$2が下限、算定対象の賃金上限はS$4,500、したがって1人あたり月額S$11.25が上限です。CPFと違い、外国人を含むすべての従業員が対象になります。
| 月間賃金 | SDLの納付額 | 算定の根拠 |
|---|---|---|
| S$800未満 | S$2 | 月額S$2の下限を適用 |
| S$3,000 | S$7.50 | S$3,000の0.25% |
| S$4,500以上 | S$11.25 | 上限に到達 — 算定はS$4,500までの部分のみ |
覚えておきたい対比:外国人パス保持者にCPFは決して発生しませんが、SDLは常に発生します。外国人材が中心の会社では、給与と賦課金以外に月次の法定義務はないと判断し、SDLを何年も納付しないまま過ごしてしまう例があります。1人あたりの金額はわずかでも、漏れは全社的で、指摘されやすく、しかも会社が最も望まない場面で表面化します。ここに示した数値は現行の水準です。2026年に向けた変更の確認が取れていないため、現行の水準として記載しています。
シンガポールに月次の所得税源泉徴収はありますか?
回答:ありません。シンガポールには月次の所得税源泉徴収もPAYEのような制度も存在しません。雇用主が毎月の給与から所得税を差し引くことはなく、IRASの査定を受けて従業員が直接納付します。雇用主の義務は年次の報告と、外国籍の従業員が退職する際に発生する事象起点の留保だけです。
この1点だけで、シンガポールは近隣のほぼすべての市場と性質が異なります。そして一般的な国別解説や汎用の給与システムが最も誤りやすい箇所でもあります。月次の源泉徴収処理を組み込んだ給与システムは、差し引くべきでない税額を控除し、従業員が必ず異議を唱える手取り額を算出し、会社に保有する根拠のない資金を抱えさせます。
年次の流れ:IR8Aと自動記載制度(AIS)
雇用主は年に1度、前年の暦年について従業員ごとの報酬をIR8Aで報告するか、自動記載制度(AIS)を通じて同じ情報を電子的に届け出ます。AISで届け出た数値は従業員の確定申告にそのまま反映されます。期限は3月1日です。この流れで雇用主が留保する金額もIRASへ納付する金額もありません。あくまで報告義務であり、実務の負担は12か月分の給与データをどれだけ正確に積み上げてきたかに集約されます。
事象:外国籍従業員の退職時に行うIR21納税クリアランス
IR21納税クリアランスは、上記の原則における唯一の例外です。シンガポール国籍を持たない従業員が雇用を終了する、またはシンガポールを離れる場合、雇用主は次の対応を行います。
| 手順 | 雇用主の対応 | 時期 |
|---|---|---|
| 1. IRASへの届出 | 退職する外国籍従業員についてIR21を提出する | 雇用終了または出国の1か月以上前 |
| 2. 留保 | 雇用終了時点から支払予定額を留保する | 雇用終了からクリアランス完了まで |
| 3. 支払 | クリアランス完了後に留保額の残りを支払う | IRASのクリアランス完了後 |
性質をはっきりさせておきます。これは確かに留保義務であり、通常のシンガポールの給与計算では唯一のものです。ただし月次ではありません。発生の起点は事象、つまり従業員の雇用終了または出国であって、給与の支払日程ではありません。実務で見落とされやすいのは1か月前の届出要件です。退職の申出は、予告期間がすでに始まってから社内で処理されることが多いためです。外国籍従業員の退職手続を進める際は、IR21の日程と予告期間の日程を同時に動かしてください。Anidayのシンガポール給与計算代行では、IR8Aの年次対応とIR21のクリアランスを毎月の運用に含めて実施します。
出典
シンガポールのCPFに関するよくあるご質問
2026年1月1日からのCPF拠出率はどうなりますか?
55歳以下は合計37%(雇用主17%/従業員20%)、55歳超〜60歳は34%(16%/18%)、60歳超〜65歳は25%(12.5%/12.5%)、65歳超〜70歳は16.5%(9%/7.5%)、70歳超は12.5%(7.5%/5%)です。対象は国民と永住権取得から3年目以降の永住権保持者で、月額賃金S$750超の場合に適用されます。
2026年の通常賃金上限はいくらですか?
2026年1月1日から月額S$8,000です。S$6,000を起点に、S$6,300(2023年9月)、S$6,800(2024年)、S$7,400(2025年)と進んだ引き上げの最終段階にあたります。追加の引き上げは予定されておらず、計画上は確定した変数として扱えます。
追加賃金上限はどう計算しますか?
年間賃金上限S$102,000から、当該暦年にCPF対象となった通常賃金の合計を差し引きます。その差額が、賞与などの追加賃金のうちCPF対象として残る部分です。計算は雇用主ごと、暦年ごとに行います。
2027年にCPF拠出率は上がりますか?
2つの年齢帯について引き上げが公表されていますが、まだ施行されていません。2027年1月1日から55歳超〜60歳は35.5%(雇用主16.5%/従業員19%)、60歳超〜65歳は26%(13%/13%)になります。他の年齢帯に変更はなく、それまでは2026年の料率を適用します。
外国人従業員から希望があればCPFを拠出できますか?
できません。CPFは国民と永住権保持者に限られ、パス保持者向けの任意加入の経路はありません。本人の希望があっても結論は変わらず、誤って拠出した分は還付手続で戻すことになります。外国人材の費用は給与と賦課金とSDLで試算し、CPFは含めないでください。
外国人従業員にもSDLは必要ですか?
必要です。SDLは外国人を含むすべての従業員が対象で、CPFとは正反対の扱いになります。料率は月間賃金総額の0.25%、下限はS$2、算定対象はS$4,500までで、1人あたり月額S$11.25が上限です。
毎月の給与から所得税は差し引かれますか?
差し引かれません。月次の源泉徴収もPAYEもなく、従業員がIRASに直接納付します。雇用主の義務は、毎年3月1日までのIR8Aまたは自動記載制度(AIS)による届出です。
納税クリアランスのために給与を留保するのはどのような場合ですか?
シンガポール国籍を持たない従業員が雇用を終了する、またはシンガポールを離れる場合だけです。その1か月以上前にIRASへ届け出て、雇用終了時点から支払予定額を留保し、クリアランス完了後に残額を支払います。月次の控除ではなく、事象を起点とする対応です。